留学は貴重な経験(体験談)

 大学３年になり周りの友達が皆就職活動をしている中、私はひとり留学準備をしていました。行先はドイツ。

元々ヨーロッパに興味があった私は大学でドイツ語を専攻していました。しかし、日本で学べることは限られていることに気が付きました。そこで、より深くヨーロッパやドイツのことを学ぶため、留学をする決意をしました。
 同じ大学内ですでにドイツ留学を経験した先輩たちから体験談を聞き、まずは行き先を決めました。私が選んだのは南ドイツにある小さな大学街でした。治安もよく、留学生を沢山受け入れている大学として評判の高い大学です。その大学に入学願書を送り、入学許可が下りたのは１月でした。
 ２月末、スーツケース１個 だけを持ってドイツへ渡りました。不安など全くなく、希望にあふれていたのを思い出します。ドイツに着くと、知り合いのドイツ人と共に、アパート探しを始めました。ドイツの学生街ではどこも、新学期が始まる直前にアパートを見つけることは困難です。私も苦戦の末、ようやく一つの学生寮に入ることができました。それは民間の学生寮で、家賃も1万円程度と安いのですが、部屋は半地下に位置していました。半地下ですので、窓から見えるのは人々が歩いている靴のみ。それでも、部屋が見つかり満足でした。
 ３月に入ると、外国人向けの語学コースが始まりました。元々、留学の目的はドイツの大学でドイツ学を学ぶことでしたので、語学コースは単なるその一歩に過ぎないと考えていました。しかし、実際に語学コースを受講してみると、そこで学べたことはドイツ語だけではありませんでした。語学コースには実に様々なバックグラウンドの学生たちがいて、彼らとの交流を通じて、世界情勢や多様な世界観を学ぶことができました。それは大変貴重な経験だったといえます。２０代前半という若い時期にこういった経験をすることで、私の中の世界や人生観が大きく変わりました。